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家族の健康を守る 食事で塩分を賢く減らすためのヒント

Tags: 健康的な食習慣, 家族の健康, 減塩, 献立, 食事の工夫, 塩分コントロール

健康的な食習慣と塩分摂取

健康的な食習慣を考える上で、栄養バランスと同様に重要なのが、適切な塩分摂取量を心がけることです。特に家族の健康を気遣う立場からは、日々の食事における塩分量が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。塩分の摂りすぎは高血圧をはじめとする様々な健康リスクを高めることが知られています。しかし、単に塩分を減らすだけでは、食事が味気なくなり、家族の満足度が得られず、継続が難しくなるという課題も生じがちです。

ここでは、家族みんながおいしさを楽しみながら、塩分摂取量を賢く減らすための具体的なヒントをご紹介します。無理なく、そして楽しく、家族の健康を守るための食習慣を実践するための一助となれば幸いです。

塩分摂取量の目安を理解する

まず、一般的な塩分摂取量の目安について知っておくことが大切です。厚生労働省では、成人1人あたりの1日の食塩相当量の目標量を、男性7.5g未満、女性6.5g未満としています(※)。ただし、これはあくまで健康な成人の目安であり、持病のある方などは医師や管理栄養士の指導に従う必要があります。

この目安を知ることで、普段の食事がどの程度の塩分を含んでいるのかを意識するきっかけになります。しかし、毎日の食事の塩分量を正確に計算することは容易ではありません。そこで、計算に囚われすぎず、日々の食事の中で自然と塩分を減らす工夫を取り入れることが現実的です。

※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

おいしさを保ちながら塩分を減らす調理の工夫

塩分を減らすというと、「味が薄くなる」というイメージがあるかもしれません。しかし、様々な工夫によって、塩分が少なくても満足感のあるおいしさを実現できます。

1. だしの旨味を活用する

かつお節や昆布、干ししいたけなどから丁寧にとっただしには、豊かな旨味が含まれています。この旨味を上手に使うことで、塩分が少なくても料理に深みとコクが生まれ、薄味でも美味しく感じられるようになります。市販のだしパックも便利ですが、無塩や減塩タイプを選ぶ、あるいは手作りすることで塩分コントロールがしやすくなります。

2. 香味野菜やスパイス、ハーブを取り入れる

生姜、ニンニク、ネギ、大葉、ミョウガなどの香味野菜や、胡椒、カレー粉、唐辛子などのスパイス、パセリ、バジルなどのハーブは、料理に香りとアクセントを加え、塩味への依存度を減らしてくれます。例えば、炒め物にはニンニクや生姜を効かせたり、サラダや和え物には大葉やミョウガ、胡椒を使ったりするなどの工夫が考えられます。

3. 酸味を活用する

酢やレモン汁、トマトなどの酸味も、塩味の補いになります。例えば、酢の物やマリネ、ドレッシングなどに酸味を効かせることで、風味豊かになり塩分を控えることができます。

4. 調味料の使い方を工夫する

調味料そのものに含まれる塩分量を意識するだけでなく、使い方も重要です。 * 「かける」より「つける」: 醤油やソースなどは、料理全体にかけるのではなく、食べる直前につけるようにすると、使用量を減らしやすくなります。 * 計量する習慣をつける: 目分量ではなく、スプーンなどで計量することで、塩分の摂りすぎを防ぎやすくなります。 * 風味豊かな調味料を選ぶ: 旨味成分が豊富な醤油や味噌(ただし塩分量は確認)、風味の良いごま油などを少量アクセントに使うのも有効です。

食材選びと加工食品への注意

食材選びの段階でも、塩分を意識することが大切です。

1. 加工食品に注意する

漬物、練り物(ちくわ、かまぼこ)、干物、ハム、ソーセージ、カップ麺、レトルト食品などは、製造過程で塩分が多く使われている場合があります。これらの食品を頻繁に利用する場合は、減塩タイプを選ぶ、食べる頻度を減らす、あるいは添え野菜を増やすなどの工夫が必要です。特にカップ麺やインスタント食品のスープは塩分が多い傾向にあるため、全て飲み干さないようにするだけでも塩分摂取量を抑えることができます。

2. 減塩表示を確認する

スーパーなどでは、「減塩」「食塩不使用」といった表示のある商品が増えています。これらの表示を参考に商品を選ぶことも有効な手段です。ただし、「減塩」と表示されていても、通常の製品と比較して塩分量が少ないというだけであり、全く塩分が含まれていないわけではない点に注意が必要です。

家族と一緒に取り組むヒント

食習慣の変更は、家族の協力が得られるとよりスムーズに進みます。

1. 少しずつ変化を取り入れる

いきなり大幅に減塩すると、家族が物足りなさを感じてしまうかもしれません。まずは、味噌汁の塩分をほんの少し減らしてみる、いつもの調味料を減塩タイプに変えてみる、だしをしっかり取るようにするなど、一つずつ無理のない範囲で試していくことがおすすめです。

2. 美味しさの変化を楽しむ

減塩によって素材本来の味やだしの旨味、香味野菜の香りがより感じられるようになることもあります。「この野菜、こんなに甘かったんだね」「だしの香りがいいね」など、味の変化を家族で共有し、ポジティブな体験として捉えるように促すことも有効です。

3. 食に関するコミュニケーションを増やす

「今日の味噌汁、だしをいつもよりしっかり取ってみたんだよ」「この香辛料を使ったら、いつもの炒め物がスパイシーになって美味しいね」など、食事の工夫について家族と話す機会を持つことで、理解と協力を得やすくなります。

継続のための視点

塩分コントロールは一朝一夕にできるものではありません。日々の積み重ねが大切です。完璧を目指すのではなく、できる範囲で続けることを目標にしましょう。外食や中食で塩分を摂りすぎてしまったと感じる日があっても、次の食事で調整するなど、柔軟に対応することも継続の秘訣です。

家族の健康を守るための食習慣チェンジは、決して難しいことばかりではありません。ご紹介したヒントを参考に、日々の食事の中で楽しみながら塩分と上手に付き合っていくことで、家族みんなでより健康的な未来を築くことができるでしょう。